2002年12月1日公刊
日本教育制度学会編
『教育改革への提言集』
定価:2800円
会員特別価格:2300円
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本提言集は、日本教育制度学会創立10周年記念事業として、現下の教育改革に対する学会員の提言を集録したものである。
わが国では-広く国際的動向でもあるが-、今、21世紀の教育改革、従ってその制度設計が喫緊の課題となっている。今次の教育改革は、明治以降これまで築いてきた教育制度を抜本的に見直す側面を含み、今後のわが国教育のあり方を左右する重大な教育改革である。この秋にあたって、上記の趣旨で創設された、教育制度の研究を専門とする研究者集団である本学会が、無言であって良いわけはない。われわれの研究成果を踏まえて、着実な提言を行うことは、本学会の社会的、少しおおげさに言えば、人類史的責務ではないかと考える。本学会10周年事業としてのこの企画を手始めにいろいろな機会に、教育改革について積極的に発言していきたいと思う。
現下日本においては、教育改革国民会議の17提案をもとにして、「21世紀教育新生プラン(レインボー・プラン)」に基づく教育改革が進められている。しかし、ここでは21世紀教育の最重要の原理である「学習権」への言及が一言だにされず、市場原理による「機会均等原則」の反故も懸念される。
本提言集は、会長の呼びかけに応じて、会員各自の発意に基づいて、(1)わが国の教育改革にとってここが一番必要だ、(2)進行中の教育改革はこの点が一番問題だ、(3)教育改革を進める前にこの観点を議論すべきだ、(4)改革事項の世界的動向を調べるべきだ、などの提言を収めたものである。
本提言集は、まず第一に国民への教育改革提言であり、第二に教育改革立案者への提言であり、第三に本学会会員への研究課題の提案である。
(はじめに・抄)
目次
はじめに(桑原敏明)
第1章 教育制度の原理を考える
第1節 学習権―児童の最善の利益―を軸とする教育制度の構築を(若井彌一)
第2節 選択の自由・市場原理を問い直す(亀井浩明)
第3節 インクルーシヴ教育の確立に向けて(嶺井正也)
第4節 「国民」教育制度を問う-外国籍の子どもの学習権保障を(嶺井明子)
第2章 早幼児期における発達支援制度の構築を(桑原敏明)
第3章 義務教育制度の見直し
第1節 活動主義から初等教育を見直す(藤井穂高)
第2節 教育機会を保障する義務教育から能力獲得を保障する「義務」教育へ(渋谷英章)
(小提言1)学校のあり方を根本的に見直し、義務制、無償制を縮小する方向へ(石村雅雄)
第4章 青年期の教育制度
第1節 高校教育の総合化・選択化の理論(大脇康弘)
第2節 学習・学校から労働・社会への接続こそ(岩橋法雄)
第5章 大学制度
第1節 大学における教養教育の再構築を(清水一彦)
(小提言2)専攻と学位に関する選択肢の拡大(井口千鶴)
(小提言3)グローバル化を意識した高等教育改革(井口千鶴)
(小提言4)大学制度の開放と国際化(村田鈴子)
第2節 大学における教育、研究、経営の機能分担を(馬場将光)
第3節 公私協力方式の構築(村田鈴子)
第6章 教師教育制度
第1節 教員養成系大学・学部から教師教育系大学・学部への転換(葉養正明)
第2節 校長職養成の制度化(中留武昭)
第7章 学校施策の改革
第1節 少人数教育・学級編制弾力化(八尾坂修)
(小提言5)日本の教職員は総合職、よって教員一人あたりの生徒数国際比較の見直しを(小野田正利)
第2節 教科書検定を廃止する(榊達雄)
第8章 学校経営制度の改革
第1節 学校と地域との連携を考える-学校・教育委員会への提言-(堀井啓幸)
(小提言6)教育委員会制度を廃止し、教育もそれ自身、今後改革されていく「一般」政治意思集約システムの中で揉まれるような骨太の教育システムを構築する(石村雅雄)
(小提言7)地域に開かれたPTA・学校支援ボランティアの創始(井口千鶴)
第2節 学校評議員制度を契機に参加協力型学校づくりを(浦野東洋一)
第3節 学校苦情への対応と処理体制の確立を(小野田正利)
第4節 学校評価・学校支援システムを考える(木岡一明)
おわりに(桑原敏明)
2003年12月1日公刊
日本教育制度学会編
『教育改革への提言集』第2集
定価:2800円
(書店でもお求めいただけます)
お問い合わせ先:東信堂
TEL:03-3818-5521
FAX:03-3818-5514
email:tk203444@fsinet.or.jp
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本提言集は、日本教育制度学会創立10周年記念事業として昨年より開始した、現下の教育改革に対する学会員の提言を集録する『教育制度改革への提言集』の第2集である。
さて、わが国では、今、21世紀の教育改革、従ってその制度設計が喫緊の課題となっている。今次の教育改革は、明治以降これまで築いてきた教育制度を抜本的に見直す側面を含み、今後のわが国教育のあり方を左右する重大な教育改革である。この秋にあたって、上記の趣旨で創設された、教育制度の研究を専門とする研究者集団である本学会が、無言であって良いわけはない。われわれの研究成果を踏まえて、着実な提言を行うことは、本学会の社会的、少しおおげさに言えば、人類史的責務ではないかと考える。本学会10周年事業としてのこの企画を手始めにいろいろな機会に、教育改革について
積極的に発言していきたいと思う。
本提言集は、上のような会長の呼びかけに応じて、会員各自の発意に基づいて、(1)わが国の教育改革にとってここが一番必要だ、(2)進行中の教育改革はこの点が一番問題だ、(3)教育改革を進める前にこの観点を議論すべきだ、(4)改革事項の世界的動向を調べるべきだ、などの提言を収めたものである。本提言集は、まず第一に国民への教育改革提言であり、第二に教育改革立案者への提言であり、第三に本学会 会員への研究課題の提案である。
(はじめに・抄)
目次
はじめに(桑原敏明)
第 1章 生涯発達支援教育制度のグランドデザインを描く (桑原敏明)
-脱「構造改革」、脱「たくましい日本人」の教育改革を-
第 2章 中央教育審議会の教育基本法改正審議に見る学習権論 (江幡裕)
第 3章 公立小・中学校の学校選択制と親の教育権 (結城忠)
第 4章 子育て支援をめぐる幼児教育制度の改革課題 (秋川陽一)
第 5章 青年期教育の課題 (西尾克明)
第 6章 日本における「キャリア教育」導入に向けた提言 (藤田晃之)
-キャリア教育に関する総合的調査研究協力者会議による「中間まとめ」に寄せて-
第 7章 教師の専門職性 (亀井浩明)
第 8章 自律する学校一支援する教育委員会の構築 (大脇康弘)
-新しい学校マネジメントの構想-
第 9章 教育振興基本計画のあり方 (三上和夫)
第10章 義務教育費国庫負担制度改革論の射程 (井深雄二)
第11章 教育費の保護者の負担軽減を考える (仙波克也)
第12章 効果的な改革の基盤整備 (窪田眞二)
資料:各教育改革諸案にみるグランド・デザイン
「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機(中央教育審議会答申「幼児期からの心の教育の在り方について」)[1998年6月](中村裕)
中央教育審議会答申「新しい時代における教養教育の在り方について」[2002年2月](吉田武大)
中央教育審議会答申「大学の賃の保証に係る新たなシステムの構築について」[2002年8月](和賀 崇)
中央教育審議会答申「今後の教員免許制度の在り方について」[2002年2月]の意義と課題(小野瀬善行)
文部科学省「キャリア教育総合計画の推進」について(前川奈津美)
フランスにおける2000年代のコレージュ(中学校段階)改革プラン「コレージュの変革:すべてのもののための、そして一人ひとりのためのコレージュ」(山口警子)
【コラム】
第1集・若井彌一提言を読んで (国祐道広)
第1集・亀井浩明提言を読んで (国祐道広)
おわりに (桑原敏明)
教育制度改革カタログと提言一覧
執筆者略歴
2004年12月1日公刊
日本教育制度学会編
『教育改革への提言集』第3集
定価:2800円
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本提言集は、日本教育制度学会創立10周年記念事業として一昨年より開始した、現下の教育改革に対する学会員の提言を集録する『教育制度改革への提言集』の第3集である。
さて、わが国では、今、21世紀の教育改革、従ってその制度設計が喫緊の課題となっている。今次の教育改革は、明治以降これまで築いてきた教育制度を抜本的に見直す側面を含み、今後のわが国教育のあり方を左右する重大な教育改革である。この秋にあたって、上記の趣旨で創設された、教育制度の研究を専門とする研究者集団である本学会が、無言であってよいわけはない。われわれの研究成果を踏まえて、大胆な提言を行うことは、本学会の社会的、少しおおげさに言えば、人類史的責務ではないかと考える。本学会10周年事業としてのこの企画を手始めにいろいろな機会に、教育改革について積極的に発言していきたいと思う。
本提言集は、上のような会長の呼びかけに応じて、会員各自の発意に基づいて、(1)わが国の教育改革にとってここが一番必要だ、(2)進行中の教育改革はこの点が一番問題だ、(3)教育改革を進める前にこの観点を議論すべきだ、(4)改革事項の世界的動向を調べるべきだ、などの提言を収めたものである。
本提言集は、まず第一に国民への教育改革提言であり、第二に教育改革立案者への提言であり、第三に本学会会員への研究課題の提案である。
(はじめに・抄)
目次
はじめに (桑原敏明)
第1部 教育改革の原理
第1章「知る」から「分かる」の教育へ (鈴木正幸)
第1節 第三の教育革命
第2節 「知る」から「分かる」へ
第3節 N体験が「内なるモノサシ」を生み出す
第4節 感育の提唱
第5節 3Kイヒ、3K主義の克服
第2章 教育のみらい 学校のゆくえ (下村哲夫)
第1節 教育のみらい、そして学校は
第2節 教育課題としての少子化
第3節 不登校と「いじめ」
第4節 学校のゆくえ、そして教育は
第3章 教育制度設計上の創設 (桑原敏明)
はじめに
第1節 教育とは何か
第2節 教育の個別性と学習権の主体
第3節 未熟な当事者
第4節 後見人としての教育制度設計士
第5節「教育制度設計士」制度の概要
第6節 教育改革案の作成における教育制度設計士の役割
第7節 教育制度設計士の養成
第8節 「おとな準備期」の教育制度設計
おわりに
第2部 各制度領域の改革
第4章 義務教育など学校教育に係る諸制度のあり方について (国佑道広)
-15年制シームレス&パッチワーク学校制度と多様な修学年数学校の共存-
はじめに
第1節 すべての子どもに3~18(15年)教育を
第2節 学校段階の多様な区分と接続を
第3節 「義務」教育から「保障」教育へ
第4節 弾力的かつ柔軟な編入制へ
第5章 公立幼稚園という問題 (藤井穂高)
第1節 公立幼稚園という問題
第2節 公立幼稚園の制度的基盤の脆弱性
第3節 公立幼稚園に対する幼保一元化の影響
第4節 公立幼稚園に対する保育所改革の影響
第5節 公立幼稚園の存在意義を追求する視点
第6章 高等学校「普通科」の課題と改革の方向性 (西山 薫)
第1節 「普通科」をめぐる問題状況
第2節 高校再編計画と普通科の改革
第3節 教養教育とキャリア教育の間
第7章 大学卒業制度の改革提言 (清水一彦)
はじめに
第1節 大学卒業制度の特質と問題点
第2節 アメリカの大学卒業制度の運用と利点
第3節 改革提言-卒業制度から課程修了制度へ
おわりに
第8章 大学システムにおけるベンチマーキング (馬場将光)
-大学評価へのDEAの導入-
第1節 どこに問題があるのか
第2節 提言
第3節 解説
第4節 DEAの事例研究
第5節 結論
第9章 教員の人事評価制度導入に向けた活路 (八尾坂修)
-諸外国の動向との比較において-
はじめに
第1節 従来の勤務評定制度からの脱却
第2節 人事評価システムの構造
第3節 平均主義からの打破に基づく諸外国の人事評価
第4節 人事評価の活路に向けた提言
第10章 コミュニティ・スクール構想の陥穿 (木岡一明)
-参加ではなく批判を-
第1節 問題の所在
第2節 専門性の保障
第3節 財政基盤の確立
第4節 合議制システムの明確化
第5節 「学校経営の自律性」再考
第11章 教科書採択を教師・父母の手に (榊 達雄)
はじめに
第1節 教科書採択の仕組み
第2節 教科書採択制度「改善」の動向
第3節 教科書採択を教師・父母の手に
第12章 教育特区を活用した自治体内発型教育革新と教育意志決定システム見直しの視点 (葉養正明)
第1節 広がる教育特区
第2節 教育特区評価の論点
第3節 教育革新は誰のものか
第4節 教育政策決定、実施過程の臨床学
第5節 ドクサを超えて
コラム
1 学校は児童虐待の予防、早期発見、問題解決に向けて真剣な取り組みを (井口千鶴)
2 市民の生涯学習要求や外部研究者の研究要求にもっと聞かれた大学図書館を (井口千鶴)
資料:中央教育審議会の最近の提言
1.中央教育審議会答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」(2003年10月7日)(小杉夏子)
2.中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」(2003年3月20日)(岡敬一郎) 177
3.中央教育審議会答申「今後の学校の管理運営の在り方について」(2004年3月4日)(吉原美都子) 182
4.中央教育審議会答串F新たな留学生政策の展開について」(2003年12月16日)(陳瞰)190
5.中央教育審議会答申「食に関する指導体制の整備について」(2004年1月20日)(井本佳宏) 194
おわりにかえて
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執筆者略歴一覧
2005年12月1日公刊
日本教育制度学会編
『教育改革への提言集』第4集
定価:2800円
(書店でもお求めいただけます)
お問い合わせ先:東信堂
TEL:03-3818-5521
FAX:03-3818-5514
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日本教育制度学会は、3年前から『教育改革への提言集』(東信堂刊)を毎年秋の研究大会の時期に、1冊ずつ刊行しております。これに託する想いは次のようです。
「今、21世紀の教育改革、従ってその制度設計が喫緊の課題となっている。今次の教育改革は、明治以降これまで築いてきた教育制度を抜本的に見直す側面を含み、今後のわが国教育のあり方を左右する重大な教育改革である。この秋にあたって、……教育制度の研究を専門とする研究者集団である本学会が、無言であって良いわけはない。われわれの研究成果を踏まえて、着実な提言を行うことは、本学会の社会的、少しおおげさに言えば、人類史的責務ではないかと考える。本学会10周年事業としてのこの企画を手始めにいろいろな機会に、教育改革について積極的に発言していきたいと思う」(日本教育制度学会編『教育改革への提言集』2002年、「はじめに」より)。
教育制度研究者の教育に寄せる期待と願いを賭けて、教育改革に発言していこう、という意気込みから始まったのです。もちろんその意気込みは萎えることなく今も続いています。
これまでの3巻は、会員の、いわば「自由発題」方式によって、本誌は編集されてきました。
4年目の『提言集・4』より、すこし方針を変え、いわば「特集方式」を加味することとしました。つまり、会員の「自由発題」ではなく、理事会の議論によって選定した「特集テーマ」にそって提言を募集し、収録するという方式です。
今回は、特集テーマを「改革はここから」としました。「改革はここから」とは、「現下日本に必要な教育改革は、“ここ(この発想、この問題解決、この視点、この領域、この手法など)から”始められるべきこと」を提言する、ということです。
(はじめに・抄)
目次
はじめに(桑原敏明)
第1章 「国際理解教育」と「国際教育」の概念整理を――「国際教育推進検討会報告」(2005年8月3日)の検討(嶺井明子)
はじめに 報告の概要と問題の所在
第1節 現場を混乱させるな
第2節 検討過程から浮き彫りになる問題点――概念整理なき消去・置き換え
第3節 「国際理解教育」と「国際教育」の概念整理を
――一貫して「国際理解教育」の名称を使用してきた文部行政
第2章 「人間の安全保障」の議論と日本の教育改革(牛尾直行)
はじめに
第1節 人間の安全保障とは何か?
第2節 「人間の安全保障」と教育
第3節 現代日本の教育改革と「人間の安全保障」
おわりに
第3章 子どもの人権保障を目指す幼保一元化の改革課題(秋川陽一)
はじめに
第1節 「構造改革」の中の幼保一元化――その問題性
第2節 幼保一元化の改革課題と提言――何から改革すべきか
第4章 「親と子が共に育つ」視点に立った幼稚園経営――当面する改革の課題と展望(伊藤良高)
はじめに――提言の背景と視点
第1節 教育改革の優先課題としての幼児教育
第2節 「親と子が共に育つ」視点に立った幼稚園経営
――キーワードは「子どもの最善の利益」「保育経営」「保育自治」
第3節 当面する改革の課題と展望
おわりに――提言のまとめ
第5章 授業改革への提言(亀井浩明)
はじめに
提言Ⅰ 教師のカリキュラム・デザインの力量
提言Ⅱ 学校外との連携についての工夫
提言Ⅲ 授業の流れの確認
提言Ⅳ 教育資源の活用
提言Ⅴ カリキュラム経営の充実
提言Ⅵ 研究授業の実施
提言Ⅶ 学習の場としての教室の準備
まとめ
第6章 定時制の現代的特徴から出発する高校教育改革(池田賢市)
はじめに
第1節 職業との結びつきの意義
第2節 共に学ぶことを活かす学習
第3節 知識のあり方の問い直し
第4節 教員の力量の問題
第5節 生涯学習機関としての高校
第6節 「適正規模」の検討
おわりに――市場原理に抗する教育観
第7章 おとな準備教育の在り方――「ニート」撲滅論(桑原敏明)
はじめに
第1節 現下の「ニート」対策
第2節 主体性、個性、社会性を原理とする「子ども期教育」の再生こそ
第3節 「自立期待」社会の構築――「一人前」義務教育の創出を
第4節 実生活体験の前期中等教育を
第5節 「一人前」の「最大限の発達」を図る後期中等後教育の体系を構築する
第6節 目指すべきモデル――デンマークの教育制度
おわりに
第8章 「生涯学習評価システム」の構築に向けて(猿田真嗣)
はじめに
第1節 生涯学習をめぐる「評価」論の現状
第2節 教育評価としての「生涯学習評価」
第3節 「生涯学習評価システム」の構想
まとめにかえて
第9章 学校と設置者――設置費用の負担とその管理(大谷奨)
はじめに――「設置者負担主義=管理主義」からの遺漏
第1節 戦前における中等学校設立費用の捻出方法
第2節 戦後への継承――新制高校と寄付(移管)問題
第3節 気持ちとしての寄付/財源としての寄付
第10章 カリキュラムマネジメントによる学校改善――その実態と課題性の吟味(中留武昭)
第1節 学校改善の概念と基本的な視座
第2節 教育課程経営からカリキュラムマネジメントへの転換
第3節 カリキュラムマネジメントの前提としての「教育課程行政の裁量」の分析
第4節 学校改善に機能するカリキュラムマネジメントの実態と課題
附録 年表・中央教育審議会と戦後教育改革(桑原敏明)
おわりにかえて(桑原敏明)
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2006年12月1日公刊
日本教育制度学会編
『教育改革への提言集』第5集
定価:2800円
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2006年は、わが国最後教育の最大のイポックとなりそうである。4月28日、ついに政府の教育基本法改正案が国会に提出され、小泉純一郎首相の後継阿倍晋三首相の選出と組閣の期間を挟んで国会審議が行われ、この10月末ないし11月初めには衆議院可決の見込みが取り沙汰されている。もし、この改正案が可決成立するならば1947年3月31日の制定以来初の改正、しかも全面改正となり、現行教育基本法は消滅することになる。
まず「教育基本法改正案」の意義を考える特集であることにご注意していただきたい。阿倍首相は「美しい国」を再構築するために、当面、憲法と教育基本法の改正に取り組む、と明言している。憲法改正案は今のところ上程されていないが、教育基本法は上記の通りである。野党の民主党も「日本国教育基本法案」を提出したが、政府の決意の固さ及び多数を占める与党の力関係からみて政府案が改正内容の基軸となるであろう。特集テーマを「教育基本法改正案」としたゆえんである。
次に「意義を考える」に注目していただきたい。「意義」にはプラス面・マイナス面、肯定的・否定的の両面が考えられる。教育基本法改正案が可決されれば、日本の教育は改善されるのか、逆に問題点が増幅されるのか。その業面を、根拠を付して提示してもらおう、というのが編集者の意図である。
(はじめに・抄)
目次
はじめに(桑原敏明)
第1部 教育基本法改正案の意義を考える
第1章 教育基本法改正案と今後の日本の教育-改正は日本の教育を悪化させ、日本を衰退させる-(桑原敏明)
はじめに
第1節 教育基本法改正案と現行法との条文比較
第2節 比較の整理
第3節 比較結果の考察
第4節 結論
第2章 教育基本法改正案「愛国心」条項の意味-国旗国歌法のインパクトを素材として-(坂田仰)
はじめに-問題の所在
第1節 国旗国歌法の制定
第2節 国旗国歌法制定後の学校現場
まとめに代えて-“過剰”と“萎縮”の連鎖
第3章 教育基本法改正-教育行政について-(岩橋法雄)
はじめに
第1節 戦後教育行政の根本理念
第2節 「改正」教育基本法案での「教育行政」の定位
第3節 「公教育」行政からの逸脱
おわりに
第4章 教育基本法「改正」と地方教育行政の危機(中嶋哲彦)
はじめに
第1節 地方教育行政をめぐる教育基本法の規範原理と現実の分裂
第2節 教育基本法「改正」の争点と教育の地方自治
第3節 自由主義改革がもたらす地方教育行政の危機
第4節 提言
第5章 教育基本法は世界教育史の遺産である(鈴木正幸)
第1節 墨塗り教科書
第2節 戦後教育は、借り物か
第3節 公教育思想の源泉
第4節 おわりに
第2部 教育改革への提言
第1章 学校教育に対する規制緩和・民間開放の論理と問題点(高橋寛人)
第1節 中央省庁改革と規制改革・民間開放政策の強行
第2節 規制改革・民間開放推進会議の活動
第3節 学校設置運営主体の多様化と新規参入の拡大
第4節 学校の「公設民営」
第5節 教育サービスの選択促進
第6節 学校教育に対する規制緩和
第2章 校長がリードする教育改革(亀井浩明)
はじめに
第1節 学校経営の改革
第2節 カリキュラムづくりと実践
第3節 生徒指導の計画と実践
第4節 校長の力量
第3章 教育・学校紛争の増大にどのように対処すべきか-メデイエーション(meditation)への注目-(松原信継)
はじめに
第1節 「教育改革」のなかの紛争解決
第2節 アメリカにおけるメデイエーション
第3節 わが国におけるADR・メデイエーションの可能性
第4節 まとめにかえて一今後の課題
第4章 少子化社会における幼児教育改革は何を目指すべきか(秋川陽一)
第1節 少子化社会における幼児教育の重要性
第2節 幼児教育改革のめざすもの
第3節 まとめと提言
第5章 中等後教育制度の設計-中等後教育システムの構築に向けて-(仙波克也)
はじめに
第1節 中等後教育の必要性
第2節 学習者憲章の制定と中等後教育の計画の策定
第3節 中等後教育の連合と統合
第4節 中等後教育政策の拡充と中等後教育行政の改革
おわりに
第6章高等学校におけるキャリア教育の改革課題(河内祥子)
はじめに
第1節 進路指導からキヤリア教育への転換
第2節 学校現場からみたキャリア教育の現状と課題
第3節 学校と「企業」によるキャリア教育の現状と今後の展望
第4節 学校と社会教育等との連携の模索
第7章 現代の高等教育改革の課題と展望-教員の組織改革への提言-(清水一彦)
はじめに
第1節 高等教育改革の特徴と改革の視点
第2節 大学の教員組織改革と制度的対応
第3節 大学教員組織の制度的対応-提言-
第8章 留学生からみた「課程制」大学院への課題(小川佳万)
はじめに
第1節 ゼミ中心の教育
第2節 コースワーク
第3節 大衆化した大学院での教育
第4節 おわりに
附録『教育改革事典』刊行に向けて
『教育改革事典』への想い(桑原敏明)
はじめに
第1節 提案の趣旨
第2節 編集上の工夫
第3節 「教育改革総論」を書いてみる
2007年8月25日刊
教育学関連15学会共同公開シンポジウム準備委員会編
『新・教育基本法を問う―日本の教育をどうする―』
定価:2000円
発行所:株式会社学文社
TEL:03-3715-1501
FAX:03-3715-2012
まえがき(抄)
「教育基本法改正案」は、小泉純一郎政権下、2006年4月28日閣議決定され、即日第164回通常国会に提出された。衆議院に「教育基本法に関する特別委員会」が設置されたのは5月11日であるが、その後、国会会期切れにより審議は次の165回臨時国会に持ち越された。小泉内閣の後を受け、「戦後レジームからの脱却」をめざし2006年9月に誕生した安倍晋三内閣は、憲法改正を視野に置く新教育基本法の制定(改定)を強く迫った。同改正案は、11月16日に衆議院本会議、12月15日参議院本会議でそれぞれ可決され、同月22日公布・施行となった。拙速のそしりを免れない新教育基本法がここに成立したことになる。その後、教育関連三法案が2007年の通常国会で成立したことは周知のとおりである。
準備委員会は、圧倒的な与党議員数のもとで新教育基本法成立の可能性大であるが、新教育基本法案が有することがらの重大性に鑑み、その本質を改めて問い、さらには日本の今後の教育の在り方を視野に、第五回共同公開シンポジウムを(2006年12月3日に[引用者注])開催することにした。(中略)
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準備委員会に残された最後の仕事は第5回のシンポジウムをまとめ、公表し、ここでの経験を今後の教育学及び教育学関連学会にどう継承するかということであった。シンポジウム報告者各位に今後の日本の教育の在り方を視野にご執筆をお願いし、また成立した新教育基本法に対する思いを教育学関連学会に「教育学関連学会の意見表明」として寄稿をお願いしたのもこうした問題意識からであった。(後略)
改正教育基本法の可決に際しての会長所感(pp.113-114)【PDF版】もございます
日本教育制度学会(桑原敏明)
改正教育基本法が『官報』に掲載されて施行された2006年12月22日、わが学会の『Newsletter No.14』が刊行された。私は冒頭の会長挨拶で、次のように述べた。
「去る12月15日には、誠に残念ながら、教育基本法改正政府案が可決成立いたしました。個人的には、全国の教育学研究者に呼びかけて、教育の本義に即して慎重審議を国会に要請してまいりましたが、受け入れられず、誠に残念です。この改正の延長線上には、わが国の教育の混迷が予想され、教育制度の研究と教育が、ゆがんだ方向に向かうことが懸念されます。私たち教育制度研究者は、教育は近未来の人類の福利を担う子どもたちの「最善の利益」=人間としての「生きる力」を最大限に発達させるという国際的・人類史的に承認された教育の本義の実現を目指して、あるべき教育制度の構築に貢献する決意を改めて確認する必要があると考えます。教育制度は、個人的営みではなく、社会的公共的営みです。その方向を間違うと是正することが困難であるだけでなくその弊害は広く及びます。
教育基本法の改正によって予想される教育の混迷を避けるためには、国際的人類史的に蓄積されてきた教育研究及びその成果を踏まえた教育改革の在り方を集約し、教育の本義に照らしてさらにその在り方を探求しなければなりません。私たちは、教育制度の専門研究者として、あるべき教育制度の研究成果を広めなければなりません。
この仕事こそ、本学会の『教育改革事典』刊行の事業です。」
今回の教育基本法の改正によって、我が国の教育制度は、本来そのために構想され、改革されるべき「子どもの最大限の発達」をぐっと遠景に追いやり、代わって国家・社会や「我々国民」、特に教育制度の運用については「政府」を前面に引っ張り出してきました。これは1900年以前の時代への逆行であるのです。1900年前後に始まる新教育運動=児童中心主義の教育理念の実現を目指して、絶対主義、国家主義、経済優先主義など総じて「おとな勝手主義」の圧力を少しずつはねのけて近景へ這い出てきた「子どもの最大限の発達」の理念を、再び遠景に蹴落す行為なのです。だから私たちは、我が国の「教育の混迷」を懸念するのです。混迷は、国家・社会や「政府」や「おとなの勝手」が子どもの視点を抑圧することによるだけではありません。歴史の進展を推進してきた力とこれを押し止める力との葛藤・対立が教育の現場を混乱させ、不信感や無気力・ことなかれ主義を惹起することが重なるからでもあるのです。後者のほうがいっそう陰湿で混乱を長期化させる厄介な問題です。
したがって、私たちは、人類の進む方向を見定め、その実現に向けて知恵を磨かなければなりません。
しかも、改正教育基本法の具体化はこれからであるので、私たちの知恵は具体的でなければな-ません。子どもに接するすべての者が、今日の知恵として活用できるようにできるだけ早く示されなければなりません。
日本教育制度学会は、以上の認識のもとに、『教育改革事典』を刊行しようとしています。ご賛同いただける教育学研究者は、私たちのこの事業にぜひご参加ください。詳しくは、本学会ホームページにアクセスしてください。